ランニング 雑記

ダニエルズ式 VDOT【マラソンの必需品】

 

ダニエルズ氏が考案したVDOTを使用して練習に取り組むことで、サブ3を達成することができました。
今回はマラソン練習の指標になるVDOTの紹介とダニエルズ式トレーニングの説明をしていきます。

 

 

 

 

VDOTについて

最近ではガーミンなどでVO2maxが測定できます。
このVO2maxについての説明と、ダニエルズのVDOTについてを説明します。

 

 最大酸素摂取量:VO2max (Vdot O2max)

まずは一般的に使用される最大酸素摂取量から説明します。

最大酸素摂取量:VO2maxとは運動中に体内に1分間・体重1kg当たりに摂取される酸素の最大値のことで、単位は〔ml/kg/min〕になります。V = 量(volume)、O= 酸素(oxygen)、max = 最大値(maximum)が由来です。
この値は運動持久力の指標とされており、マラソンではトップアスリートになるほどこの値が高くなります。
トレッドミルなどを使用して測定することが可能です。

また、VO2maxやVdotO2maxと複数の言い方がありますが、dotは1分あたりの酸素摂取量〔ml/kg/min〕ということを表現しています。どちらも単位は〔ml/kg/min〕なので意味は同じになります。

 

ダニエルズのVDOT

前述したVO2maxの値は人それぞれ異なります。そこでジャック・ダニエルズ氏とジミー・ギルバート氏はさまざまな走力データをもとに計算上のVO2max一覧を作成しました。この計算プログラムのことをVDOTと読んでいます。

このVDOTの値は直近のベストパフォーマンスから算出することができ、そのタイムから他の距離だったらどのぐらいのタイムが出るのかを確認することができます。また、各種トレーニングの適正ペースも記載されており、このペースを使ったトレーニングをダニエルズ式トレーニングと呼んでいます。

 

 

 

ダニエルズ式トレーニングの種類

ダニエルズ式トレーニングでは強度別にE、M、T、I、Rの5つに分類されており、それぞれの強度でランニングに必要な能力を強化していきます。ここでは各強度の練習目的と効果、練習方法について紹介します。

 

 

E ペース (Easy Pace:イージーペース)

イージーペースは走りながら会話ができ、いつでも楽に走れるペースのことです。
イージーランニングは約60%HRmax程度で実施します。この時心収縮力は最大となるため心筋を発達させさせることができ、さらに毛細血管の新生を促進させることができます。また、イージーランニング中であっても心臓は血液と酸素を筋肉へ運搬して、エネルギーへ変換しています。このエネルギー変換の活動時間が長いほど変換効率改善の効果を得ることができます。
イージーランニングの効果を得るためには30分以上行うとをを推奨されています。

 

項目 目安
VO2max:最大酸素摂取量〔%〕 59~74%
HRmax:最大心拍数〔%〕 65~78%
練習量〔1回あたり〕 30~150分
運動と休息の割合 -
練習量の割合〔1週間〕 25~30%
練習効果 心臓の強化と毛細血管新生の促進

 

 

M ペース (Marason Pace:マラソンペース)

マラソンペースは名前の通りマラソンレースの設定ペースです。
練習の効果はイージーランニングと同じになりますが、一番の目的は実際のレースペースに慣れることになります。

 

項目 目安
VO2max:最大酸素摂取量〔%〕 75~84%
HRmax:最大心拍数〔%〕 80~89%
練習量〔1回あたり〕 40~110分
運動と休息の割合 -
練習量の割合〔1週間〕 15~20%
練習効果 心臓の強化と毛細血管新生の促進、ペースになれる

 

 

T ペース (Threshold Pace:閾値ペース)

閾値ペースは快適なきつさのペースで、比較的早く走っているがそこそこの時間(20~30分)維持できるペースです。

運動強度を上げていくと血中乳酸濃度が急激に上がるペースがあります、この変換点となる閾値(Threshold)をTペースとしています。
Tペースで練習を行うことで、乳酸を除去する能力が高まります。これにより、比較的長い時間、維持できるペースを向上させることができます。

 

項目 目安
VO2max:最大酸素摂取量〔%〕 83~88%
HRmax:最大心拍数〔%〕 80~89%
練習量〔1回あたり〕 最大20分
運動と休息の割合 -
練習量の割合〔1週間〕 10%
練習効果 持久力強化

 

 

I ペース (Interval Pace:インターバルペース)

インターバルペースはVO2max:100%で11分間維持できるペースです。(よくわからないと思うのでVDOT一覧を参照)

IペースはVO2maxかそれに近い値でトレーニングを行い、VO2maxに刺激を与えることで最大酸素摂取量(VO2max)を増加させることができます。Iペースで走った場合VO2maxに到達するには90秒〜120秒かかります。Iペースで4分走った場合は約2分間刺激を与えることができることになります。

Iペースは長時間維持することができないので、インターバルトレーニングを行い疾走とレスト(休憩)を繰り返すことで合計して長い時間の刺激を与えます。この時レストの時間が短ければVO2maxに到達する時間も早くなるため、より長い時間VO2maxに刺激を与えることができます。しかし、ペースを維持することができなければVO2maxに到達しないため意味がありません。

ダニエルズ氏はインターバルトレーニングの疾走は5分未満、レストは同程度の時間を推奨しています。

 

項目 目安
VO2max:最大酸素摂取量〔%〕 95~100%
HRmax:最大心拍数〔%〕 ほぼ100%
練習量〔1回あたり〕 上限5分
運動と休息の割合 1:1
練習量の割合〔1週間〕 10km or 週間走行距離の8% どちらか短い方
練習効果 有酸素能力向上

 

 

R ペース (Repetition Pace:レペティションペース)

レペティションペースはVO2max100%以上で行う、ほぼ全力疾走の無酸素運動領域のペースになります。
全力に近いペースで走るため、速筋線維を刺激してスピードを出す脚力を鍛えることが出来ます。

レペティショントレーニングの疾走区間の上限は2分、休息はその2~3倍の時間をとります。休息が不十分で後半フォームが崩れるのは避避けます、しっかり休息をとり正しいフォームで練習を行いスピードを鍛えます。

 

項目 目安
VO2max:最大酸素摂取量〔%〕 105~120%
HRmax:最大心拍数〔%〕 100%
練習量〔1回あたり〕 上限2分
運動と休息の割合 1:2~3
練習量の割合〔1週間〕 8km or 週間走行距離の5% どちらか短い方
練習効果 無酸素能力向上、ランニング経済性向上、スピード向上

 

 

書籍"ダニエルズのランニング・フォーミュラ"にはさらに詳しい内容が記載されています。
この本はランナーの必需品だと考えています、興味があればを手元に置き練習に取り組んでみてください。

 

 

 VDOT表の見方

前章までの情報を踏まえてVDOT一覧表を見ていきます。
以下にVDOT一覧を記載しています、タブを切り換えてVDOTと練習強度を確認することができます。

 






距離別VDOT

VDOT Half Full VDOT
1500m 5000m 10km 15km 21.0975km 42.195km
42 6'19 23'09 48'01 73'56 1:46'27 3:40'43 42
43 6'11 22'41 47'04 72'27 1:44'20 3:36'28 43
44 6'03 22'15 46'09 71'02 1:42'17 3:32'23 44
45 5'56 21'50 45'16 69'40 1:40'20 3:28'26 45
46 5'49 21'25 44'25 68'22 1:38'27 3:24'39 46

練習強度 (E/M/T)

VDOT Eペース Mペース Tペース VDOT
1000m 1000m 1000m
42 5'42~6'23 5'16 4'54 42
43 5'35~6'16 5'09 4'49 43
44 5'29~6'10 5'03 4'43 44
45 5'23~6'03 4'57 4'38 45
46 5'17~5'57 4'51 4'33 46

練習強度(I/R)

VDOT Iペース Rペース VDOT
400m 1000m 1200m 200m 400m 600m
42 1'50 4'31 - '50 1'40 - 42
43 1'48 4'26 - '49 '98 - 43
44 1'44 4'21 - '48 '96 - 44
45 1'42 4'16 - '47 '94 - 45
46 1'40 4'12 5'00 '46 '92 - 46

 

ランナーAを例に、VDOT一覧表の見方を説明します。
例)

ランナーAのベストタイム
・1500m:6'10
・5000m:22'10
・10km:47'00
・Half-Marason:1:42'15

step
1
VDOTの確認方法


距離別VDOT”のタブを選択して、現在のベストタイム時のVDOTを確認します。

ランナーAの各タイムでのVDOTは以下の通りになります。

・1500m:6'10 (VDOT:43)
・5000m:22'10 (VDOT:44)
・10km:47'00 (VDOT:43)
・Half-Marason:1:42'15 (VDOT:44)

 

 

step
2
予想タイムの確認方法

Step1で確認したVDOTは43~44でした。

測定したことがない15kmとフルマラソンのタイムは他距離のVDOTと同じ行のタイムを目安に算出できます。

ランナーAの場合はフルマラソンを3:32'23で走ることが可能であることがわかります。

 

コンディションなどにより算出タイムより速くなったり遅くなったりします。
VDOTは走力を測る判断材料として使用してください。

 

 

step
3
練習強度の確認方法

練習タイムは”練習強度 (E/M/T)””練習強度 (I/R)”のタブを選択して確認してください。

距離別のタイムをもとにVDOTを算出すると複数の値が算出されますが、その中でいちばん高い値を使用します。

・練習強度(E/M/T)

 

・練習強度(I/R)

ランナーAの場合はVDOT:44で練習タイムを決定していきます。

 

 

レベル別にVDOTをまとめていますので、参考にしてください。

VDOT一覧表まとめ【マラソンレベル別】

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まとめ

ダニエルズ氏のVDOTと5つのトレーニングについてご紹介しました。

VDOTは上級ランナーから素人ランナーまで、全てのランナーが使用できる非常に優れた指標です。ただ走るのではなく自分の実力を把握した上でメリハリのある練習をすることで、効率よく能力を向上させることができます。私もVDOTを使用してサブ3を達成することができました。

陸上未経験者がサブ3達成するまでの記録

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まとめ

  • VDOTは全てのランナーの指標
  • VDOT表は自分のレベルを把握できる
  • VDOT表は自分の練習強度を把握できる
  • 練習の目的を明確にして取り組む
  • 書籍"ダニエルズのランニング・フォーミュラ"はランナーの必需品

 

 

 

  • この記事を書いた人

tana

サラリーマンランナー
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